繊細ちーさんの優しい笑顔の向こう側

繊細さをプラスに変えて50歳から楽しむことを見つけていくブログ

アルコール依存症だった父を想う

前回の投稿で、2023年は夫と私のそれぞれの両親に「恩返し」をしたいと書きました。私なりの「恩返し」の形を少しずつ考えながら過ごしています。



今回はその形のひとつとして、私の父のことを書いてみようと思います。私の人生に大きな影響を与えた父と向き合い、私の想いを書くことが父への「恩返し」になるのかなと思っています。



私の父は今、天国にいます。63歳という若さでした。タイトル通りアルコール依存症でお酒に溺れた人生でした。その人生は色んな人の人生にも大きく影響し、子供の私はたくさん傷つき、大人になってもその影響は続くことになります。



父=お酒 なのだけど、お酒を除いた父はとても優しくユーモアがある人で、困ってる人がいたらほっとけなくて、とにかく愛情に溢れた人でした。



私はそんな父が大好きでした。



間違いなく私はお父さん子で、子供の頃よく父の膝の上に乗っていました。その温かさと時々私の頬をすりすりしてくる父のチクチクした頬の感覚は今も残っています。夜眠る時は隣でちょっと笑える自作の物語を話してくれて、続きはまた明日と楽しみを残して眠らせてくれました。



そんな大好きな父がお酒で人が変わり、壊れていく姿を見るのは「辛い」という簡単な言葉では足りず、悲しみ、怒り、恐怖、虚しさ、どんな言葉を足しても表すことの出来ない感情が小さな私を襲いました。



当時の私は父に対して色んな疑問がありました。
どうしてそんなにお酒を飲むのだろう?とか、どうして仕事が長続きしないの?とか、どうして母にまで手を上げて傷つけるのだろう?とか・・・



実際父に疑問を投げかけた記憶があるのですが、具体的な答えはありませんでした。もしかしたら、父の中にも同じ疑問があったのかもしれません。自分でも答えが分からないからもがくしかなく、もしかしたら私と同じ繊細な面を持ち生きづらさを抱えていたのかもしれません。



今は冷静にそう思えるけど思春期の私は当然冷静にはなれず、そんな父を許せず憎みました。でも、本心で憎んでないのは私が一番よく分かっていました。幼い頃愛情をたくさん注いでくれた父の温かさが私の中にしっかりと残っていて、父への憎しみを邪魔してきます。



憎み切れたらどんなに楽だろう・・・
そんな感情を持ったまま時は流れていきました。



私も大人になり、結婚し、親になり、転勤先の遠い地で父が亡くなったことを知りました。病院に駆けつけると看護師さんが父から私へのメッセージを伝えてくれました。



「こんな父親を娘は憎んだかもしれないけど、最後まで自分を見つめる娘の目は憎しみではなく優しい目だった。ありがとう、そして本当に申し訳なかった・・・」



父は私に二つのことを教えてくれました。



一つは、人を憎むことはとてもしんどいこと。



もう一つは、人から愛情を注いでもらうことはとても幸せなこと。



憎むことと愛すること、この相反する両方の気持ちを経験できた私の人生は、もしかしたら悪いものばかりではなかったのかもしれません。



父から教わった大事なことをこれからの人生に活かして前に進む。これが父へはもちろん、あの頃必死で生きた小さな私への「恩返し」です。


時々空を眺めて天国の父を想います



最後まで読んでいただきありがとうございました。